足立涼子さん『How should I your true love know?』

〝花びらの形に沿って文字が印字されているこの作品。狂気に陥った『ハムレット』のオフィーリアが、不思議な軽やかさで歌う歌詞を使っています。訳はこんな風。

〝恋人と別の人、どうやって見分けるの? 貝殻付の帽子と杖 それからサンダル靴でわかります……彼は死にました 死んだのです 頭は草で覆われて 踵には石………覆いは雪山のよう 美しい花々で覆われて……〟

この作品にちなんで、研究員の本の紹介コーナーに1枚だけCDを置いていました。メゾソプラノ歌手、波多野睦美さんの『オフィーリアの歌』。本のコーナー故にそれは<こっそり>のつもりだったのですが、ある来場者のお目に留まり手紙をいただくに至りました。手紙には高橋悠治さんと収録された別のCDが紹介されており、モンポウを演目にした氏のコンサートへ出かけたことがあったので聴いてみると、はたしてモンポウありクルト・ヴァイルやケージのオフィーリアあり、軽やかさと真摯で静謐な熱感が共存する好みの音楽を聴くことができ、お手紙いただいた方に感謝した次第です。
ちなみに狂気の中で歌われる [オフィーリアの歌の軽やかさ] は、この状況下に開かれた今回の展覧会にどこか似ていないこともないと<こっそり>思っています。(足立)

*オフィーリアの歌詞の訳(抜粋)は波多野睦美さんのCD『オフィーリアの歌』の訳を参考にしつつDeepLを利用しながら意訳しました(足立)。

How should I your true love know?』と合わせて、足立涼子さんの本『ドイツの図書館』『いろがみえほん』はTOMOSONLINEでもご紹介中です。

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