足立涼子さんの本のコーナー

研究員コーナーには、それぞれが持ち寄った本が置かれています。こちらは足立涼子さんの本です。

〝流転する動きの中に生じる現象として、ゲーテは色彩や植物などの<形>を捉えていました。それは、人の感覚に寄り添いながら世界を捉える方法と理性的な観察が合わさったもので、造形をする人のものの見方と重なるところがあると思います。『自然と象徴』は学生時代の恩師に紹介され、それ以来書棚にあるものです。

人の感覚に寄り添いながら世界を捉える方法は、湯川秀樹さんの『詩と科学』にも通じると思いました。湯川さんは中間子という素粒子の存在を予言しノーベル賞をもらいました。ラッセル=アインシュタイン宣言に署名し、科学の倫理を問うた人でもありました。

湯川さんは中国古典に明るく『荘子』をよく読まれていたそうです。<量子の世界>で新発見ができたのは老荘思想に通じていたからだとよく言われます。中心を持たない釣り合った状態、だからこそ、そこに存在するものの感じ方を抜きにしてはあり得ない見方。<形>としての表れを見せながら常に動いている世界を捉える方法は、洋の東西を問わずにあるのだと思います。野鳥図鑑片手の散歩も本作りも、そういうものの見方でできたらなあ、と思っています。(足立)〟



足立涼子さんについてはこちらを。
作品はTOMOSONLINEでも取り扱っています。

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