ヨーロッパで衣類を繕うことをダーニングとよぶそうですが、そのテクニックは自由で芸術的。それに倣って紙のダーニングを試みてみました。自宅に眠っている古い作品、破れたり汚れたりした材料、不要になったもの、これらを組み合わせたり補修したりして「自分で考えるダーニングの本」を作ってみました。


穴を塞ぐ手法で継いでみました。紙を紙で塞ぐ、開けた穴の残りの形も面白い。


布は『小豆三粒』と言いますね!小豆三粒も包めないほどの小さい紙もやはり捨てられない、、。版画ローラーを使った制作物の切れ端を貼り合わせて豆封筒を作りました。日常的に目の前を通過して行く消耗品としての紙、なんとなく捨てずにおいた紙片はファイルしています。忘れた頃に取り出して眺めると無意味だけれど思わせぶり。そういうものを豆封筒に入れて見ました。

              

「海で猫を捜す。」
優奈が夜一人家に戻ると、タマオはソファーに横たわっている。その姿は数秒後にはランプの光に吸い込まれるように消えてしまう。「海で猫を捜す。」この諺は、捜しても無駄という意味ではなく、海ではどんなものでも見つかる、予想外のものも見つかるという意味だ。海に行ってその表面を見つめよ。何時間も何日も。海で猫を捜す。これが優奈が考え出した諺だ。「ボルドーの義兄」多和田葉子


描き損じの紙、下地だけで放っておいた紙、しまい込んだままで、シミが浮き出た紙・・、捨てられずにあった紙たちを裂いたり、貼り合わせたり、描き足したり。1枚の絵を描くときとはちょっと違う気分で、作りました。一頁の紙はだいたい同じ大きさですが、少しずつ幅が違っており、見開きの真ん中のつなぎの紙で調節し、綴じています。


2冊の本を編み込んで1冊の本に仕立てました。


言葉の書かれた紙を短冊状にカットして不要紙を綴じてみました。