どこから始めようかな?
おしくらまんじゅう、ぎゅうぎゅう、、、

高橋洋子さんの研究員コーナーより

研究員コーナーには、それぞれが持ち寄った本が置かれています。その中から1、2冊を選んで紹介してもらいました。こちらは高橋洋子さんの本です。

ロラン・バルト〈偶景〉
ロランバルトは「小説の準備」と題して「俳句」の講義をしていたらしく物語の文体を考える上で俳句形式を魅力的な長さと考えていたらしいです。偶景(アンシダン)とは〈ミニ・テクスト、短い書きつけ、寸描〉のことで物語になる途中の細かな断片の寄せ集めでできた本です。今回の冊子にも偶景から短い断片をいくつか引用していて自分が試みている俳句との親和性を感じて今回展示しました。(高橋)

レイモン・クノー〈文体練習
言い換え・読み換え・書き換え・を駆使してひとつの些細な出来事を99通りの書き換えによって構成した本です。シュールの流れをくむクノーは「潜在文学工房」ウリポの中心人物で、ウリポは言葉遊びの実験集団です。自分が試みている俳句もあーだこーだと言い換えたり組み替えたり削ったりして面白がっているので、少し「文体練習」に似ていると思いました。(高橋)

高橋洋子さんについてはこちらを。
作品はTOMOSONLINEでも取り扱っています。

大古瀬和美『小さな本、宇宙の旅』

大古瀬和美さんの小さな本、手のひらの上で無限の世界が拡がります。小さくトリミングするほど那由他のスケール感が出てくる墨流しの不思議さと魅力をお伝えするA10サイズの頁の連なる『小さな本、宇宙の旅』『白ペン用蛇腹ノート』『墨流し豆ノート』の3種類は拡げると驚くほど長ーくなります。その他エミリー・ディキンソンの6篇の詩の宇宙を収録した『E.D』、太陽光を虫眼鏡で集めた焦げ跡で描かれた循環する絵本『かえるちゃん たびにでる Kaeru Odyssey』など詳細はGallery2でご覧ください。TOMOSONLINEで取り扱い中です。

展覧会は本日から8/22まで休廊となります。「育てる本」へのご参加ありがとうございました。素晴らしい作品が予想以上にたくさん集まって興奮しております!写真はギャラリストのお二人。お寄せいただいた作品を撮影中です。有能なお二人にはいつもお世話になっております。ご応募いただいた作品はギャラリーより製本担当者へ発送されました。インスタグラム<育てる本>で製本中の様子や作品を順次ご紹介予定です。

*DM記載のHPアドレスが本日まで不通となっておりました。手入力でHPを探してくださった皆様には混乱させてしまい大変申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫びいたします。

研究所展では研究作品が並ぶ大テーブルの他に、5つの研究員コーナーがあります。

最後にご紹介するのは足立涼子さんのコーナー。出品作『ドイツの図書館』にちなんで本棚をイメージした展示になっています。5人の中では唯一、本の作品をメインに活動する作家。時に鳥のさえずりに耳をすまし、散歩中の草花に眼を向ける足立さんは、自然界の植物や生命を独自の観察眼で捉え、深いコンセプトを持つ美術としての本づくりを行っています。その作品はドイツで学んだ経験に支えられています。
色あざやかな、本展のための出品作はGallery2で、これまでのコンセプチュアルな本の作品はこちらでご覧になれます。

研究所展では研究作品が並ぶ大テーブルの他に、5つの研究員コーナーがあります。

水彩画の作品が並ぶコーナーはさいとうかこみさん。書籍装画、カレンダーのイラストレーション、教科書挿絵などイラストレーターとして幅広く活躍されています。アルシュをこよなく愛するというかこみさんの作品はいつもやわらかで温かみのある色彩に溢れています。一方、大胆でエネルギッシュな表現もお得意。懐の深い人がらが作品に現れているようです。
かこみさんのオリジナル水彩画による本の作品はGallery2でご覧ください。絵本のように眺められるHPはこちら、ブログの「紙にエンピツ、水彩、小さなもの」はこちらでご覧になれます。

研究所展では研究作品が並ぶ大テーブルの他に、5つの研究員コーナーがあります。

ギャラリーの一角に置かれた黒いテーブルが和田祐子さんのコーナー。バックグラウンドにカリグラフィーの素養をもつ和田さんの作品は〝文字から派生した抽象のタブローとドローイング〟。映画『プロスペローの本』のカリグラファー・Brody Neuenschwanderにも師事された方だってこっそりお伝えします。内面から湧き出てくるような和田さんのラインは、コラージュの手法やソーイングマシンが使われていてもいつもペン先のような躍動感に溢れています。
研究会の応用作品や、得意のワックスを使った本の詳細はHPのGallery2でご覧ください。和田さんについてはこちらをご覧ください。

研究所展では研究作品が並ぶ大テーブルの他に、5つの研究員コーナーがあります。

2つ目にご紹介するのは高橋洋子さんのコーナー。謎かけのように様々なオブジェで構成されています。〝「アメリカ・インディアンの口承詩」の言葉の断片がマジカルでアルミ板・和紙・木片・油彩・銅版画・蜜蝋・テラコッタなどの作品をナゼかつくりはじめました。〟という高橋さんは俳人でもあり、その作品は差し出された様々なイメージを見るものが紡いで完成させる余白を持っています。
言葉の断片やイメージが幾重にも重ねられた本の詳細はHPのGallery2でご覧ください。〝俳句は〈読む〉ものではなく〈見る〉もの〟という高橋さんの世界観はこちらでご覧になれます。

研究所展では研究作品が並ぶ大テーブルの他に、5つの研究員コーナーがあります。

こちらは大古瀬和美さんのコーナー。大古瀬さんは画家であり、無農薬無化学肥料で薬草、果樹、野菜を栽培し、庭にニホンミツバチの巣を置く養蜂家でもあります。〝生活のあらゆる細部に宿る「光」に出来るだけ気づくよう〟暮らしているという大古瀬さん。そこから生まれる作品は、繊細ながら細部にまで神経が行き届き、彼女の意思や生活スタイルなど全てに通底する揺るぎない信念があらわれているようです。会場では大古瀬さん秘蔵の「あじ紙」も販売中。
墨流しに魅せられ作られた『小さな本、宇宙の旅』や小さなノートなど、大古瀬さんの繊細で美しい本の詳細はHPのGallery2でご覧ください。大古瀬さんの絵のサイトはこちらを、日々の生活の様子はこちらをご覧ください。