2018年も暑い夏でした。温暖化の影響と言われているますが、摂氏50度を超えるところも出て、北極圏でも30度超。もはやSF的で笑うしかありません。そんな状況に選んだテーマは J・G・バラードの『結晶世界』。小説の中から2つの断章が選ばれました。それをモビールに綴じるという研究テーマ。モビールに綴じる? 確かにブック・アートも、キネティック・アート(動く芸術)の一つと言えますが。・・・宙づりになった本。バランスのとれた本。ハイパーリンク的にページが散らばります。

日中は、奇怪な形になった鳥が石化した森の中を飛びかい、結晶化した河のほとりには、宝石をちりばめたような鰐が山椒魚の紋章のようにきらめいた。夜になると、光り輝く人間が木立のあいだを走りまわり、その腕は金色の車のよう、頭は妖怪めいた冠のようだった。…………….

『結晶世界』J.G.バラード著 中村保男訳 創元推理文庫
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サンダーズ博士は立ちどまって、露天の台に並んでいる彫像や骨董品を眺めた。地元の工芸家たちは、モント・ロイアル鉱山から出る不要鉱物を充分に活用しており、チーク材と象牙の彫り物の多くは、廃棄鉱物の屑山から拾い集めた方解石やほたる石の断片で装飾され、それらが彫像の小さな王冠やネックレスとしてとりつけられている。不純なひすいや琥珀のかたまりから作られた彫り物が多く、それらを作った彫物師たちは、キリスト教的なイメージに似せようとしたりはせずに、腹が垂れ下がって顔をしかめている座像を作り出していた。

『結晶世界』J.G.バラード著 中村保男訳 創元推理文庫