雨の中をお越しくださった皆さまありがとうございました。
「育てる本」へ参加してくださった皆さまありがとうございました。また別のプロジェクトでもご一緒できると嬉しいです。今のところ予定はありませんが展覧会、ワークショップ、拡大研究会などがあるかもしれません。ご案内希望の方は<このサイトについて>の再下段・問い合わせフォームよりご連絡いただけると嬉しいです(匿名可)。

専用ウェブサイトは引き続きご覧いただけます。9月中はTomosonlineで作品取り扱いを継続してます。

インスタグラムより
インスタグラムより

「本」はページをめくる音や紙の匂い、手触りなど五感を使って味わうことができます。「楽器になる本」というテーマでは本から生じる音を積極的に研究してみました。どんな音がするかこちらのページで動画をご覧ください。

標本のような設営前の和田祐子さんのモビール
展示台に載せられたモビール(ぶら下げられずに残念)

ゆらゆらと吊り下げられたモビール型の本があっても面白い。和田祐子さんは繊細なモビールを標本のように固定してギャラリーへ持ち込みました。吊り下げ金具も自作です。

こちらのページでは展示できなかったモビール型の本の作品をいろいろ紹介しています。

ギャラリー窓横を通る鳩
さいとうかこみさんのポップアップ本

大古瀬和美さんによる自作カーボン紙(転写紙)の研究

〝若い頃、新しい画材があると手に入れて延々実験をしていた。ある時、毎日、初めて触る物のように画材に向き合えれば紙と鉛筆だけで見たことがない線が描けると気付く。また、何も気負いなく、描くことだけに没頭できるほど慣れ親しんだ画材の良さにも気付く。

コロナ騒動によるステイホームに従っていた2020年の夏、久しぶりに画材実験して過ごした。子供の頃から使っているクレヨン、クレパスや水性クレヨン、キットパスを、クッキングペーパーに塗り込んだ自作カーボンで様々な紙に傷を転写していった。転写した残りの顔料もアイロンの熱でさらに転写を繰り返した。描画に向いていない紙にも顔料が乗るのは面白く生まれて初めてトイレットペーパーに描いたり。慣れ親しんだ画材の新しい使い方を探って、毎日数十枚描いていた若い時分の気分を思い出していた。(大古瀬)〟

自由課題のページではその他のカーボン紙研究の画像が見られます。大古瀬さんの作品はギャラリー2TOMOSONLINEでもご覧になれます。

足立涼子さんの本のコーナー

研究員コーナーには、それぞれが持ち寄った本が置かれています。こちらは足立涼子さんの本です。

〝流転する動きの中に生じる現象として、ゲーテは色彩や植物などの<形>を捉えていました。それは、人の感覚に寄り添いながら世界を捉える方法と理性的な観察が合わさったもので、造形をする人のものの見方と重なるところがあると思います。『自然と象徴』は学生時代の恩師に紹介され、それ以来書棚にあるものです。

人の感覚に寄り添いながら世界を捉える方法は、湯川秀樹さんの『詩と科学』にも通じると思いました。湯川さんは中間子という素粒子の存在を予言しノーベル賞をもらいました。ラッセル=アインシュタイン宣言に署名し、科学の倫理を問うた人でもありました。

湯川さんは中国古典に明るく『荘子』をよく読まれていたそうです。<量子の世界>で新発見ができたのは老荘思想に通じていたからだとよく言われます。中心を持たない釣り合った状態、だからこそ、そこに存在するものの感じ方を抜きにしてはあり得ない見方。<形>としての表れを見せながら常に動いている世界を捉える方法は、洋の東西を問わずにあるのだと思います。野鳥図鑑片手の散歩も本作りも、そういうものの見方でできたらなあ、と思っています。(足立)〟



足立涼子さんについてはこちらを。
作品はTOMOSONLINEでも取り扱っています。

さいとうかこみ Ohayou, Ohayou 1

〝展示で、描いた絵を額装して壁にかける、絵が引き立って素敵に見えるし、埃や汚れから守ってくれる・・。確かにそうなのですが、絵の前に立つと作品と自分の間に膜があって隔てられているような、遠く離されているような、そんなもどかしい気持ちになることがよくあります。

なるべくなら絵がむき出しのまま、触れられるぐらいのところで独立し、人に会っておしゃべりするように、相対することはできないだろうか・・というのが常々思っていたことでした。

本は、置いてある姿は独立した一つのオブジェですが、手に取ってページを開いていくことで、目の前にあるものとは全く違った風景が自分の中に展開し、一瞬で別世界へ飛んでいくことのできるメディアです。掌に収まる大きさでよいし、とりあえず何枚かの紙に何かの情報、文字や画像を書き込んで、バラバラにならないよう、糸や糊で一辺を綴じてしまえば、出来上がり。好きな時に取り出して、開いたページを閉じるまで、思う存分ながめられます。

絵を描いて、その紙を真ん中で折って、また絵を描いて・・つないでいったら本になる。それを手に取って見てもらえれば、よいのではないか。・・というのが今回の制作の基本でした。
本の形にする、というのは、原画をスキャンしてその画像をプリントし、ページ立てて冊子にする、という方法では以前にも行ってきたことでした。ですが、原画の持つ紙の美しさ、色彩の発色は、どうしても伝えきることはできません。(もちろん、プリントして作る冊子の良さも、あげればたくさんあります)

今回の制作では、<ひと見開き/左右のページ>に絵を1点ずつ、左右どちらかの絵は切り抜いて地のページから少しだけ浮かせる、というやり方を決めて作りました。平面の絵だけれど、少しだけメリハリと、物質感を持たせたい気分がありました。言葉は、無くても良いかも?・・と初め思ったのですが、言葉があった方が、よりページを開き進みやすいのでは、という考えになりました。
でも、言葉自体は日常の、何気ない、誰でもが使う挨拶のような言葉で。かえってそのほうが、見る人の思いで、いろいろなイメージを広げられるのでは・・と思ったのです。
この作品にある絵は、1枚で壁面を飾るような密度は無いかもしれません。ですが、それが連続し、言葉がページを開いていくことで、この本を手に取る人の中に、なにかしらのイメージ(1日の初めに、楽しく挨拶をしたくなるような)が広がったら、いいな、と思っています。(さいとう)


さいとうかこみ さんの本『Ohayou, Ohayou 1Ohayou, Ohayou 2Ohayou, Ohayou 3』はTOMOSONLINEでも紹介中です。

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